「のし」の由来

「のし」はもともと、「のしあわび」と呼ばれる縁起物を由来としています。古くはお祝いの贈り物に「干したあわび」を添える風習があり、それが簡略化されて現在の紙製の「のし」になりました。

つまり、「のし」は相手への祝意や感謝を表す象徴として受け継がれてきたものです。現代では印刷のし紙として用いられることが多いですが、その背景を理解して使うことで、形式だけでなく心を込めた贈答になります。

「のし」を使うシーン・使わないシーン

のしは、贈答の目的に応じて使い分ける必要があります。お祝い事には「のし紙」を使用し、弔事などの場面では「掛け紙」のみを用いるのが一般的です。誤って使うと失礼にあたる場合もあるため、目的に合わせた選択が大切です。以下に、代表的な使用シーンを整理しました。

和菓子ギフトを贈る際は、贈る目的に合わせて適切なのしを選ぶことが重要です。

慶事用と弔事用の違い

のしには「祝いの気持ちを込める」と「哀悼の意を表す」という明確な目的の違いがあります。慶事では喜びを共有するためにのし飾りを添えますが、弔事では控えめに哀悼を伝えることが大切です。とくに注意したいのは、同じ「結び切り」でも色や表書きの意味が異なる点です。

紅白は一度きりの祝い事、黒白や銀色は弔意を表すものとして区別されています。目的を誤ると印象を損ねるおそれがあるため、事前に確認しておくと安心です。下記に、おもな用途と水引の種類の対応例をまとめました。

贈り物の目的ごとに正しい種類を選ぶことで、相手への敬意や気持ちをより丁寧に伝えられます。

「内のし」「外のし」の使い分け

のし紙には、贈り物の包装紙の内側にかける「内のし」と、外側にかける「外のし」があります。内のしは控えめで上品な印象を与えるため、郵送や配送など直接手渡さない場合に適しています。外のしは感謝やお祝いの気持ちを確実に伝えたいときに選ばれ、手渡しの贈り物が多い傾向です。

迷ったときは、「相手に直接渡すかどうか」で判断するとよいでしょう。たとえば、取引先や上司に感謝を伝えるお礼の品は外のし、自宅から送るお中元やお歳暮は内のしが一般的です。目的や渡し方によって印象が変わるため、状況に合わせて使い分けることが大切です。

オンライン店舗

オンラインショップでは、注文時に「のしの有無」や「表書きの内容」を選択できる項目が設けられています。多くの場合、「内のし」「外のし」などをプルダウン形式で選び、備考欄で細かい指定を行います。

注文完了後は、のし掛けと包装を行ったうえで発送される流れが多いです。商品ページやカート画面で指定方法を案内している店舗が多いため、購入前に確認すると安心でしょう。

店頭

店頭での購入時は、レジや包装カウンターで「のしを付けてほしい」と伝えましょう。スタッフが贈り先や用途を確認し、適切なのし紙や水引、表書きを提案してくれます。のし掛けの種類（内のし・外のし）も、手渡しか配送かによって選ぶのが通常の流れです。

完成までに少し時間がかかることもあるため、余裕を持って依頼するとスムーズです。